イギリスで学ぶサッカーMBAのブログ

itaru.nagata[at]gmail.com←ご連絡はコチラまで([at]を@にしてお送りください)

通信員業務を始めて思ったこと

f:id:itarunagata:20121007203516j:plain

 

ある方からのご紹介をいただき、メディア企業で通信員業務を

させていただくことになりました。実質的なインターンシップです。

 

主な業務は、プレミアリーグで活躍する日本人選手に関する

英国での報道を、日本語に翻訳し、

日本のメディアにお届けする、というもの。

 

これまで僕は調整業務しか担当していなかったのですが、

先日からいよいよもって、翻訳業務を始めました。

 

業界に半歩足を踏み入れることができた、と自分の中で捉えています

(もちろん、半歩踏み入れたままに終わってしまう覚悟も持っています)。

 

「あっち側」だった世界が、「こっち側」になる瞬間。

  

選手としての経歴、翻訳作業の経験、メディア関連業務の実績。

いずれも持ち合わせていない中で、

自分がどうすればこの業務を全うできるのか。

 

実際に業務を始める前に、何人かの方にご相談もさせていただき、

色々アドバイスをいただきました。

 

結局行き着いたのは、変に背伸びすることなく、

素人であることを素直に認めて、

自分なりに必要だと思うことを吸収していこう、

という結論でした。

 

実際に翻訳活動を本格的に開始して感じたのは、

「報道を直訳しただけでは、バリュー(付加価値)は生まれない」ということ。

 

報道として最低限必要な情報を整理した上で、

・日本人読者が求める情報

・依頼元メディアの特性

・掲載情報の「足し算と引き算」

(不足情報を補い、不要情報を省く)

を意識した記事作りをしないと、

自分が関わる意味が無いと思っています。

 

こういうことが苦労なくできるようになって、

依頼元からも信頼が得られてくるようになれば、

今度はそこに初めて

 

・独自の観点

 

を盛り込めていけたらいいんだろうな、と思っています。

サッカーをより本質的に理解していくための情報が取り入れられるように。

ただ、これはインターンレベルにいる現状のスキルの自分に

課すことではまだない、と思っていますが。

  

とにかく、翻訳作業中強く感じたのが、「選ぶ言葉の大切さ」。

 

ある歌手が「歌詞の主語と述語をつなぐところで

『が』にするのか『は』にするのか、

一時変えるだけでその歌の印象が全く異なる」

といっていました。

 

翻訳作業も全くもって同様でした。

表現を少し変えるだけで、記事は大きく異なる。

だから、英文を読み解く時間よりも、

「どの日本語を用いるべきか」に費やす時間の方が長いこともあります。

 

新しい仕事をすると、新しい発見がたくさんある。裏を返すと、

したことのない仕事には、わからないことがたくさんある。

 

そこから違う仕事に翻って考えたときに思ったのは、

「評論家」「批評家」「コメンテーター」の仕事。

 

事業会社に身を置いていた立場からすると、

「世論や視聴者の意見をミスリードしている」

と感じることも多々あります。

 

それでも、彼らはメディアから求められている役割を果たしているわけで、

その役割を果たすことの難しさを自分たちが理解できているか、

となると、そうではない。

 

彼らがおかしな意見を述べていれば、それは指摘すべきでしょう。

 

ただ、「彼らは批判の対象について、何も把握できていない」

という観点だけで批評するのは、きっとあまり良くないんですね。

 

なぜなら、評論家を批判している自分自身も、

評論家としての仕事を把握できていないから。

 

つまり、「評論家を評論している状態になっている」自分が、

評論家を否定したら、「評論家と同じことをしている自分をも否定する」

ことになるから。

 

きっとサッカーの試合を観るときも同様なんでしょうね。

「なんであのMF、あそこに走り込んだ味方FWにパス出さねーんだよ、

 分かってねえなぁアイツは!」なんて大声で言ってしまう人こそ、

実はサッカーを分かってないんだと思います。

 

ストレス発散というか、解消というか、ストレスのはけ口にしているのなら

そういう楽しみ方もあるかと思います。それに、ビジネスの面で見れば、

文句を言ってでも試合を観てくれるなら、それもまた大切な顧客の一人。

 

でも、「あれは味方の走り込みのタイミングと位置が合わなくて、

視界に入っていなかったのかも知れない」なんて見方を追究していけば、

きっとより深くサッカーを楽しめるんでしょうね。

 

サッカー「観戦力」が高まる

サッカー「観戦力」が高まる