イギリスで学ぶサッカーMBAのブログ

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不定期連載 " Sports Graphic Fimber"

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日本代表の欧州遠征が終了した。

 

今回参加していたのは、ほとんどが普段

欧州にいる選手ばかりだった。

 

しかし今回、欧州にいながらにして

残念ながら代表に呼ばれなかった選手が

ここリバプールにいる。

小雨の降る中、彼を追った。

二度目のインタビューである。

 

 

―しかし雨がよく降りますね。

 

「ホント、そのとおりです(苦笑)。」

 

―今日の試合はシーズン開幕戦。

初の公式戦でもありましたが、

いかがでしたか?

 

「やはりこれまでとは違った緊張感に包まれていました。

 試合前、ベンチスタートを言い渡されていました。

 勝利を最優先にする雰囲気だったので、

 今日は出場できない可能性も覚悟していました。」

 

―後半30分からの出場でした。その時の心境は?

「正直に言って、失点につながるプレーだけは避けたい

 という、かなり後ろ向きな精神状態で

 ピッチに入りました。」

 

―後半アディショナルタイムに点が入っての勝利。

「ほっとしました。負けると雰囲気も悪くなってたと

 思うんで。」

 

―前回はボールが回ってこなかった、とのことでしたが、

 今回は?

「周りが疲れきっている中での途中出場で、

 自分一人元気だったこともあり、前回よりは

 回ってきていました。」

 

―得意の走りを活かせた?

「・・・攻守の切り替えの時には、そうですね。

 でも本当はボールを持った時に活かしたい。」

 

―途中、シュートを空振りする、という場面がありました。

「あれは本当に悔しかったです。致命的なミスでした。

 後からチームメートに聞くと、

 シュート前の切り込み方がまずかったらしくて。

 あれを決めてたら絶対変わってたと思う。

 試合の戦い方も、自分の評価も、色々。

 でもここから始めるしかない。

 これが実力だと思うしかない。

 実際そうなんだから。」

 

―今後に向けての課題は?

「そうですね、やはり基本技術の習得、これにつきます。

 それと僕が何度ミスをしても『今日はよく頑張った!』

 と声をかけてくれるチームメート達。

 彼らへの感謝の気持ちはずっと忘れずにいたい。」

 

 

・・・

試合後、チームメートに促されて、長友選手と同じ

「お辞儀パフォーマンス」をしている場面が見られた。

チームの雰囲気がいい証拠だろう。

 

実力不足を自覚させられる一方、

シーズン開幕戦という新たな一歩を着実に踏み出した。

そこで学んだチームメートとの絆。

 

ミスをしたら悔しい、点が入れば嬉しい。

あわよくば自分でゴールを決めたい・・・

 

プレーの質はプロと埋めようのない差があれど、

サッカーを楽しむ資格は誰だって同じように持っていい。

 

あれもサッカー、これもサッカー。

 

空振りをしたその右足は、次のシュートへの

第一歩目の助走だと信じよう。
 

ぬかるんだ芝生で歯を食いしばって走り続ける彼を、

今後も生暖かく見守っていきたい。