イギリスで学ぶサッカーMBAのブログ

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おバカキャラ枠はイギリスにもあった

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このブログを読んでくださる方は、

僕が普段どれだけ真面目クンで

トゥーシャイシャイボーイなのかを

しっかりご理解くださっているかと思うのですが、

僕のそういったキャラクターは、

クラスではもはや完全に崩壊しつつあります。

 

①クラスメートからいっぱい突っつかれている

 インド人とかメキシコ人とか、嬉々として僕を突っついてきます。

 油断してる時にヒュッとくるので、常にルックアップして、

 周囲を見回し、誰がどこにいるのかを把握しておかなければなりません。

 "Don't poke me, please like me!"とfacebookに絡めたセリフ

 (英語版だと「いいね」は"Like"になるのと、"poke"(つっつく)機能がある)

 を思いつきで言って自慢げな顔してたらそんなことおかまいなく真後ろからウッ   

②呼ばれる名前がもうメチャクチャ

 本名以外に、"Terry" "Hide" "Hirata" "Scony"と、

 合計5つの呼称が存在しています。

 千の顔を持つ男、ミル・マスカラスも驚きです。

 

③プレゼン/スピーチの時は必ず笑い声が漏れ聞こえる

 はじめの第一声を放った瞬間から、もう笑い声が聞こえてきます。

 なんで僕の時だけ。おかしいな。ジーンズの社会の窓が

 きちんと閉まってるのを確認してから登壇に上がってるんですけどね。

 僕がクラスに巻き起こしたいのは、笑いじゃなくて議論の渦なのにな。

 

④「手を振る」のがクラスで大流行

 僕があるクラスメートに遠くから手を振ったら、

 なぜかそれが妙にウケて、僕の代名詞的アクションになっています。

 「イタルウェーブ」などと名称がつけられるほど。

 普通のレスラーがやると単なるトペスイシーダなんだけど、

 藤波辰爾がやるとドラゴンロケットと呼ばれる、みたいなもんです。

 誰がわかるんだそんな例え話、というのはさておき、僕に挨拶をする時は

 みんな握手に加えて手を振ってくれます。お互いコレをやっている瞬間、

 辺り一帯がなんだかとても微笑ましい雰囲気に包まれます。

 

おバカなことばっかりやってたらみんなから相手にされなくなるんじゃないか、

という懸念もあったんですが、グループワークなんかは僕の意見を聞き入れて

くれる雰囲気がドンドン醸成されつつあるので、悪ノリにならない程度に

この流れを楽しんでいこうと思います。

 

なんてったってもうすぐハロウィーン。

クラス内でのおバカキャラ枠としての

ポジションを確固たるものにするには絶好の機会です。

バカポジティブ

バカポジティブ

不定期連載 "Sports Graphic Fimber"

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不定期連載と銘打ちながら、

定期的にしっかりとアップされているこのシリーズ。

 

―本日は公式戦第2節。いかがでしたか?

「そうですね、体調を整えるのに少し苦労しました。

 実はこの前日、前々日と二日連続でマンチェスターに遠征で行っていたので。

 昨日も帰宅したのが深夜12時。タイトなスケジュールが続いていました。」

 

―ベンチ入りも、あいにく出場は叶いませんでした。

 「・・・。やはり、出なくてもよかった、というと嘘にはなりますよね。

  回を重ねるごとに、チームの登録メンバー数が増えて、

  選手構成は充実してきました。でもそうすると、必然的に

  試合に出られない可能性が高まります。

  チームとしては開幕2連勝と素晴らしい滑り出しですが、

  個人としてはちょっと・・・複雑ですね。」

 

―試合結果についてはいかがですか?

 「3-0で勝利、というのは素晴らしいと思います。

  でも、それだけ点差がついた状態でも僕みたいな控え選手が

  出られないとなると、今後も出場する機会は限られていると思います。」

 

―日本でも、長谷部選手が開幕8試合連続で不出場、と話題になっています。

 「そうらしいですね。やっぱり僕も同じ欧州組として、

  厳しさを実感していますよ、ええ。」

 

トップレベルの日本人選手と自身とを、

「欧州組」という同じ土俵にあげて比較する姿勢には、

歯がゆさとプライドがない交ぜになっている様子が垣間見えた。

しかしそれは、次回以降の試合へのモチベーションを

維持し続けている証左でもある。

 

撤収時にたった一人、最後までボールを使って

壁当ての練習をしていたのは、監督へのアピールにほかならない。

決していじけているわけではないのだ。仲間がいないわけでもないのだ。 

 

雨と曇りが続くリバプールだが、今日は珍しく、

薄い水色をした空に、飛行機雲が横切っている。

彼が緑色のピッチを縦横無尽に駆け巡る日が、

いつか必ずやってくると信じたい。

空は、今日も、青いか? (集英社文庫)

空は、今日も、青いか? (集英社文庫)

 

抱えているのは夢と希望だけではない

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イギリスに来て、1ヶ月を過ぎました。

クラスメートの人となりが、お互いようやく分かってきたかな、

という気がしています。

 

先日パブで隣同士になったあるクラスメートから、こんな質問をされました。

 

「通信員業務は最近どう?」

 

僕がようやくいくつか記事を書き始めたこと、

その内一つがサイトのトップページをめでたく飾ったこと、

情報源を広めるべく、日本人のメディア関係者に

コンタクトを試みていること等、色々話しました。

その中で、

「僕はこれまでスポーツ関連の業務経験が全くなかった。

 そういう意味で、この仕事をもらえたことは本当によかったと思っている。」

という話をすると、彼はとボソッとこう返してきました。

 

「そう、僕もスポーツ関係の業務を経験してないんだよね・・・。」

 

僕たちは夢と希望を抱えている一方で、不安も葛藤も背負っている。

 

南米から来たクラスメートは、スペイン語が母国語として使えるにも関わらず、

人種差別がひどいからという理由で、多くの人が憧れる

スペイン・リーガエスパニョーラのクラブでは働きたくない、という。

 

アジアから来た別のクラスメートは、

自分と同じ国出身の生徒が周りに多すぎて、

英語の上達のためには、嫌われてもいい覚悟で

彼らと距離を置かざるを得ない、という。

 

僕自身、複雑な英語表現ができず、説得力のある意見を授業で全然言えていない。

ヨーロッパで働こうとしても、語学力やVISA等の問題で、就職はまずもって難しい。

日本に戻っても、果たしてきちんとスポーツ業界に就職できるのか。

自分の経歴はどれだけ評価してもらえるのか。

満足の得られる仕事ができるのか。

 

みんな、何かを変えたいと思ってこの大学に来た一方で、

自分では(ほぼ)変えられない何かと葛藤している、

というのを、クラスメートと話していて強く感じます。

 

正直に言って、今僕たちがパブで話している内容は、

まだ「サッカー好き同士の国際交流」にしか過ぎません。

 

「俺はブラジル人だけど実はアルゼンチンサッカーの方が好きなんだ。」

「インドでは同じプロ選手になるにもクリケットの方が圧倒的に給料が高いんだ。」

 

それはそれで新しい発見もあるけれど、

でもこの程度の会話に終始することに、本当の意味で満足するレベルだったら、

僕達はわざわざこのMBAになんて来ていない。絶対。

 

キャパシティー以上の負荷をかけながら、

後悔覚悟でここに来た僕らは、もっと色んなことを共有していけるはず。

それができれば、パブでクラスメートと話す時間も、

教室で教授の授業を受ける時間と同じくらい

大きな価値のあるものに変えていけるはず。

 

サッカービジネスの知識をもっと広めて、

英語力にもっと磨きをかけて、

自分の立ち位置もきちんと確立させて、

次のステージに早く進みたいと思っています。

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

不定期連載 " Sports Graphic Fimber"

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日本代表の欧州遠征が終了した。

 

今回参加していたのは、ほとんどが普段

欧州にいる選手ばかりだった。

 

しかし今回、欧州にいながらにして

残念ながら代表に呼ばれなかった選手が

ここリバプールにいる。

小雨の降る中、彼を追った。

二度目のインタビューである。

 

 

―しかし雨がよく降りますね。

 

「ホント、そのとおりです(苦笑)。」

 

―今日の試合はシーズン開幕戦。

初の公式戦でもありましたが、

いかがでしたか?

 

「やはりこれまでとは違った緊張感に包まれていました。

 試合前、ベンチスタートを言い渡されていました。

 勝利を最優先にする雰囲気だったので、

 今日は出場できない可能性も覚悟していました。」

 

―後半30分からの出場でした。その時の心境は?

「正直に言って、失点につながるプレーだけは避けたい

 という、かなり後ろ向きな精神状態で

 ピッチに入りました。」

 

―後半アディショナルタイムに点が入っての勝利。

「ほっとしました。負けると雰囲気も悪くなってたと

 思うんで。」

 

―前回はボールが回ってこなかった、とのことでしたが、

 今回は?

「周りが疲れきっている中での途中出場で、

 自分一人元気だったこともあり、前回よりは

 回ってきていました。」

 

―得意の走りを活かせた?

「・・・攻守の切り替えの時には、そうですね。

 でも本当はボールを持った時に活かしたい。」

 

―途中、シュートを空振りする、という場面がありました。

「あれは本当に悔しかったです。致命的なミスでした。

 後からチームメートに聞くと、

 シュート前の切り込み方がまずかったらしくて。

 あれを決めてたら絶対変わってたと思う。

 試合の戦い方も、自分の評価も、色々。

 でもここから始めるしかない。

 これが実力だと思うしかない。

 実際そうなんだから。」

 

―今後に向けての課題は?

「そうですね、やはり基本技術の習得、これにつきます。

 それと僕が何度ミスをしても『今日はよく頑張った!』

 と声をかけてくれるチームメート達。

 彼らへの感謝の気持ちはずっと忘れずにいたい。」

 

 

・・・

試合後、チームメートに促されて、長友選手と同じ

「お辞儀パフォーマンス」をしている場面が見られた。

チームの雰囲気がいい証拠だろう。

 

実力不足を自覚させられる一方、

シーズン開幕戦という新たな一歩を着実に踏み出した。

そこで学んだチームメートとの絆。

 

ミスをしたら悔しい、点が入れば嬉しい。

あわよくば自分でゴールを決めたい・・・

 

プレーの質はプロと埋めようのない差があれど、

サッカーを楽しむ資格は誰だって同じように持っていい。

 

あれもサッカー、これもサッカー。

 

空振りをしたその右足は、次のシュートへの

第一歩目の助走だと信じよう。
 

ぬかるんだ芝生で歯を食いしばって走り続ける彼を、

今後も生暖かく見守っていきたい。

 

make a difference

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ここのビジネススクールのmission statementとでもいえばいいのでしょうか。

"Learning to make a difference"というフレーズを、

学内や資料上でよく見かけます。

 

こちらでの生活が徐々に落ち着きはじめてからというもの、

「この"make a difference"ってどう捉えればいいのかな」

ということをずっとぼんやり考え続けていました。

 

金科玉条の如く受けとめているつもりはありませんが、

企業であれ学校であれ、組織が発信している

メッセージやコンセプトを理解することは、

とても大切なことだと僕は思っています。

 

"make a difference"・・・日本語に訳すと

「違いを生み出す」または「違いをもたらす」

といったところでしょうか。

 

気になっていたことは2つあります。

 

1つ目は、何に関する「違い」なのかということ。

視点を変える、というような、内的なものを言っているのか、それとも

結果を変える、というもっと外的なもの(アウトプットに関すること)

を言っているのか。

 

ビジネススクールの生徒に向けられたメッセージ、という文脈で捉えると

「結果に違いをもたらす」と受け止められる。

でもそれをどうすれば実現できるか、となると、

過去の慣習にとらわれない、つまり「視点を変える」という、

内的なものを意味することになる。

 

2つ目は、「なぜ"a difference"という単数形で、複数系ではないのか」ということ。

英語の標語の形式として、単数形が自然だ、というのが答えなのでしょうが、

欲張って"Make dirrefences"じゃ駄目なのか。

もし何か一つだけに絞るなら、fundamental(根本的)なものにすれば、

そこから派生する全てのものも変わっていくんじゃないか。

 

 

 

・・・出た結論としては

「何でもいいから、気になったことを変えるところから始める」

ということでした。

 

視点(意識)を変えれば行動が変わるし、行動が変われば結果も変わる。

でもそれは自分の裁量の範囲の話に過ぎません。

 

担当業務が変われば視点を変えざるを得ないし、

評価によって行動を変えざるを得ないし、

それらによって当然結果も変わる。

 

自分の視点と行動が同じであっても、社外の外部要因

(経済情勢や同業他社の動き)で結果に違いはいくらでも生まれる。

だから、

「対象も範囲も自分で限定せず、変えたいと思ったところを変えていく、

という行動を継続していけばいい」と考えるに至りました。

 

生み出している変化が根本的な時も表面的な時も、

1個の時も複数の時も、何も生み出していない時も。

 

総合的に見て何かに貢献できていると誇りを持って言えるなら、

色んな時があっていいはず。

 

僕たちは世界を変えることができない。

僕たちは世界を変えることができない。

主体的でいる

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今日は初のプレゼンテーションでした。

テーマは自国リーグの外国人枠について。

約3時間のクラスの後、プレゼンが終わった開放感とともに、

クラスメート約10人でパブに雪崩込みました。

 

クラスの雰囲気が徐々に打ち解けてきたこともあり、

開講当初に比べて、少しずつ込み入った話しをするようになってきました。

 

僕自身、プレゼンテーションの全体としての出来栄えは悪かったのですが、

そこで取り上げたある内容が彼らにとって興味を引くものだったらしく、

パブで色んな意見交換をしました。

これまでの単なる国際交流ではない、一歩進んだ展開に。

 

他にも自転車競技におけるドーピングの是非など、

いくつかのトピックが持ち上がっていたのですが、

僕にとって最も印象的だったのが、

最近のブラジル代表選手の選出について。 

ブラジル人のクラスメートがこんなことを

言っていました。

 

・代表スタッフ陣にかかるスポンサーからの圧力が大きくて、最近は

「能力のある選手」ではなく「人気のある選手」が選出されている。

・結果的に、その状況を好ましいと思っていないブラジル国民の間で、

 代表人気が低下している。

 

人気選手を選出しているのに、逆に人気が落ちるなんて、

皮肉な出来事だと思います。

ここで「それは良くないよね。本質的ではないよね。」

というのは至極簡単なのですが、問題は

自分が実際の環境に身を置いたら、適切な判断が出来るのかどうか。

 

例えば自分が代表監督として、選手起用に関する全責任を負っていたとする。

スポンサーが、「この選手を今度の大会で起用して欲しい。

もし万が一起用しないで、かつ優勝できなかったら、

協会に圧力をかけてやる」と言ってきたとする。

 

その選手が自分の想定する戦術にそぐわないとしたら、

その時自分はどんな行動を取れるのか。

その選手の起用を優先して戦術を修正するのか、

戦術を貫いてその選手を全く起用せずに優勝を目指すのか。

「圧力」といっても単なる脅しにしか過ぎず、

辞任に追い込まれるまでにはならないと考えるのか。

 

任期があとどうせ半年に迫ってるから、1ヶ月後に辞任させられても

そんなに大差ない、と捉えるのか。

はたまた、その選手を先発ではなく途中出場で出して、

折衷案をとっていくのか・・・。

 

こうして考えていくと、捉え方や選択肢は色々あって、

とにかく「有能な選手」を選出すればいいんだ、

という考えは極めて表面的なものに思えてしまいます。

 

アカデミックに特化したMaster(修士)過程にいるのであれば、

客観的な立場に徹することもいいと思っています。

ただ、僕たちはなぜMaster of Business Administration(経営学修士

という、異なる名称のところにいるのか。

 

多様な観点から物事を取らえ、

何らかの判断基準をそこから見出し、

リスクを抱えつつも日々決断・実行していく、

そのためのスキルやマインドセットを会得するというのが、

今僕たちがここにいる目的なんじゃないかな、と思っています。

 

英国にいる、リバプールにいるという新鮮味は徐々に失いつつありますが、

それに反比例する形で、知的興奮度が高まってきているような気がします。

 

不定期連載 " Sports Graphic Fimber"

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イングランドのトップクラブで活躍する香川真司

大きいとはお世辞にも言えない体躯でレギュラーを張る彼の姿に、

勇気づけられている日本人ファンは少なくないはずだ。

 

一方で、人知れず同時期に渡英したアマチュアの選手が、ここリバプールにいる。

しかしこのことはあまり世間には知られてはいない。

当然、押しかける報道陣もここにはいない。

 

仕方が無いから彼の練習風景について、

自分で自分をインタビュー取材した。

 

―N田選手、始めまして。本日はよろしくお願いいたします。

 

「よろしくお願いします。こんなところまで来ていただいて。

 実は僕と同じ苗字なんですよね。お会いする前から親近感ありました(笑)。」

 

―ありがとうございます(笑)。早速ですが、今日の練習はどうでしたか?

 正直に言って、あまりボールが回ってこなかった印象ですが。

 

「ピッチが広めでスペースもあったので、

 トラップからのプレーを心がけていました。

 でも結果的に一つ一つのプレーのスムーズさを失って、

 何度もボールを取られていました。諦めてダイレクトプレーに専念しても、

 ボールがことごとく繋がらなくて・・・。」

 

―ポジションはどこを?

 「とりあえずサイドのポジションをメインでさせてもらってます。

  サイドバックとか、サイドハーフとか。もともと陸上部だったので、

  走ることに抵抗はないっていうか。」

 

―今日のチームのフォーメーションは?

 「ファーガソン監督もここ最近取り入れている、

  ダイヤモンド型の4-4-2です。

  これが僕たちのチームにマッチしているのかどうか、

  監督はこの布陣を見極めていきたいと思っているはずです。」

 

ファーガソン?布陣を見極め?ちょっと唐突に出てきた単語、

 という印象ですが・・・

 

「そうですか?ま、もしよければこちらのサイト見てください。

http://www.goal.com/jp/news/74/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89/2012/10/08/3435041/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E5%9E%8B%E3%81%AE%E5%B8%83%E9%99%A3%E3%82%92%E8%A6%8B%E6%A5%B5%E3%82%81%E3%81%9F%E3%81%84」

 

―何か「ぜひ見てもらいたい」という恣意的な意図を感じますが・・・

 ところでチームメートにもう一人日本人らしき選手がいましたが、

 コンビネーションはどうでしたか?

 「あぁ、E君ですね。今日はポジションが逆サイドだったので、

  連携プレーはありませんでした。今後はプレーの質を高めていって、

  日本人ホットラインを作っていきたいですね。」

 

―何か手応えを感じた、という部分はありますか?

 「うーん、そうですね・・・(しばし沈黙)。はっきりいって、

  今日は何も感じられなかったっていうか。ただ思ったことは、

  今の自分が出来ることは、とにかく走ることしかないってこと。

  陸上部時代は、800mで京都府内ランキング10位以内に

  入っていました。体格では敵わなくても、走力ではイギリス人にも

  負けていないはず。だから走力が自分の武器と考えて、

  次につなげていきたいですね。」

 

取材後、オフタイムはいつも何をしているのか、と聞いてみた。

「最近、スコーンにはまってるんです。

 イギリスでの生活、結構楽しんでますよ、俺。」

と屈託のない表情で彼は言った。

 

インタビューでは後ろ向きな発言が終始続いたが、

裏を返せば、強がることなく自分の気持ちを素直に語っていた、

とも受け取れる。そんな彼がイギリス生活を楽しんでいるというのは、

まぎれもない本音と言っていいだろう。

 

今回が初の取材となったが、あえて聞かなかったことがある。

「どうしてリバプールに来たのか」ということだ。

 

リバプールには、エヴァートン、トランメア、そして言わずと知れた

リバプールFCという、いずれも長い伝統を持つクラブが拠点を構えている。

もしかしたら彼は、そのどこかへ移籍したいと考えているのではないか・・・。

 

しかし素直すぎるほどに質問に答えてしまう彼にそれを聞いたら、

彼は好むと好まざるとにかかわらず、それに答えてしまうだろう。

 

現状にあまりにも大きな課題を抱えている中で

今後を語ってもらうのは無粋だと思い、

取材ノートを閉じることにした。

 

Fimberでは、今後も不定期で彼の英国での成長を追い続けたい。

未来を語れるにふさわしい男になる、その日まで。