3か月経って見えてきたもの
第一セメスターが終了しました。
イギリスに来てから駆け抜けるように過ぎていったこの3か月。
失うものは無いと思っていたし、得られるものも見えなかったから、
後先考えずにここまで突っ走ってきました。
掴んだものは本当にたくさん。充実している、
という言葉ではとても表現しきれないくらい、素晴らしい経験が出来ました。
悔しかったこと、掴み損ねたこともたくさんあるけれど、
それを糧にして得られたものもあるから、
全部ひっくるめて良かったと思うことにします。
留学前と今の自分を比較してみて、
二つの点で大きな進歩がありました。
一つ目は、自分にとってのサッカーの魅力が、ハッキリとわかったこと。
試合の取材で目の当たりにした勝負としての残酷さ、
そして名物教授が授業で述べたあるフレーズ。
この2つが相まって、自分がサッカーの何が本当に好きなのかが
ようやく見えてきました。
それは、「サッカーが紡ぎ出す世界観」です。
パスはチームメートがお互いに向けた無数のメッセージ交換。
ドリブルは相手との文字通り瞬時の駆け引き。
シュートは勝利への希望を託して描かれる放物線。
ファウルすら、勝利を渇望するプレイヤーの感情の発露。
これらのプレーが試合の中で、守備と攻撃の連動性を帯びながら、
力強い美しさで観客に訴えかけてくる。その世界観こそが、
僕の感じるサッカーの魅力だということです。
二つ目は、最終的に自分が理想とするアプローチが少しずつ見えてきたということ。
具体的に言うと、「グローバルな視野で、サッカーを社会面やビジネス面から捉え、
日本中のファンにメディアを通じて発信していくことで、より成熟した見方ができる(=多様な視点を持てる)ファンを増やしていきたい」
ということです。
このブログを始めた時に書いたことですが、
元日本代表監督の岡田武史さんが、
「Jリーグができてはじめの10年で選手がプロになった。
次の10年で監督・コーチがプロになった。
その次の10年はスタッフがプロになる番だ。」とおっしゃっています。
僕は、さらにその後の10年は、ファンがプロになる番だ、と今思っています。
「あのクラブは監督がすぐ入れ替わるからダメなんだ」と普段言いながら、
降格圏内になった途端「監督変えなきゃダメだよ」と言い出す人、
案外多いと思いませんか。
負けが込んでいるクラブのフロントを無能、バカと口汚く罵っておきながら、
試合結果以外でクラブを評価する基準を持ち合わせていない人、
結構多いと思いませんか。
プロは結果が全て、と言う人は数多くいます。
でもそれって実は、結果以外にクラブの状態を把握するための情報や、
分析する術を持ち合わせていないのを隠れ蓑にして、
結論付けるのが容易い結果論を正当化しているだけに
過ぎないケースも多いのではないでしょうか。
だとしたら、プレーヤーサイドと同じように、
ビジネスサイドからの情報発信もたくさんしていって、
ファンがサッカーを考える余地をもっと生み出していけたらいいのではないか。
そうしたら、日本サッカー界は一段階成熟して、新たなステージに上がれる、
そんな気がします。
とにかく、僕にも貢献できる領域が、日本サッカー界にはまだ残されているはず。
自分のこの手応えを信じて、次の3か月はさらなる勢いで走り抜けようと思います。