日本のダイナミズム
ドイツのブンデスリーガ(統括団体)が、
日本語サイトを開設しました。
欧州サッカー界で、日本という国が存在感を確実に
高めていることを表す、一つの実例だと僕は思っています。
僕がヨーロッパに来てこれまで、欧州で働くサッカー関係者の
少なくとも50人以上と話す機会がありました
(この数はおそらく、クラスメートの誰よりも多いはずです)。
その中で感じたのは、日本が今「新たな有望選手の発掘先」と「顧客の開拓先」
という両方の側面で、欧州の関係者からの注目を浴びている、ということです。
下記記事を読んでもらうとおわかりになるように、
ブラジルやアルゼンチンと比較すると絶対数こそ少ないですが、
日本人選手の欧州移籍の増加件数については、
世界でトップレベルの大きな勢いを誇っています。
ごく少数の人間が注目するに留まっていました。
しかし最近は、香川選手の例に見てとれるファーガソン監督や、
木下選手にオファーを出したとされているマンチーニ監督など、
世界的な強豪を率いてタイトルを獲得している監督が、
軒並み日本人選手に注目を向けています。
一方で、クラブの経営(チーム強化ではなく、ビジネス面)を担っている幹部や、
マーケティング担当の方々から話しを聞いていると、
「中国・インドに次いで、日本をビジネスマーケットとして重要視している」
という言い方をされます。実際に、試合日にマンチェスター・ユナイテッドの
スタジアムにあるオフィシャルグッズショップに行くと、来店客の約15%が
日本人でした。また、ピッチ横の電子看板では、日本語のメッセージが
試合中頻繁に表示されます。
僕が興味深いと思うのは、「選手の発掘先」と「顧客の開拓先」
(これについては、MLBにおける日本の野球選手とファンも
インドや中国は、有望選手の輩出先とはまだ見られていません。
アルゼンチンも、一般的な評価として、
市場としての魅力が高いという話しはあまり耳にしません。
韓国も、欧州クラブに所属している選手は一定数いるものの、
人口約5000万人であることを考えると、
日本のほぼ半分で魅力にはいささか欠けるマーケットです。
こういったことを考えていくと、日本の他に考えられるのは
ブラジルぐらいでしょうか。
ある1つの側面からのみ注目されているということではなく、
複数の側面から注目されているというのは、長期性をもたらす
(つまり一過性のブームでは終わらない)という点で、
非常に重要なことだと僕は思っています。
欧州のみならず、アジアや南米やアフリカで、日本の存在感がもっと高まって、
世界中でさらなるダイナミズムが生まれていって欲しい。
いつか僕が立つのは、それを見届ける場所ではなく、
作り出す場所でいたいと思っています。